この記事について
他サイトの権利関係の解説が深刻なレベルで間違っているので、私の知識と見解を記す事にした。知的財産権の専門家ではないが、当サイトや企業サイトを運営する上で著作権には気を遣っているし、商標をいくつか所有していて多少は詳しい。
ちなみにある画像が知的財産権を侵害しているか否かの判断はケースバイケースで、専門家である弁理士さんですら断言できない。それは裁判で争うべき事だからだ。それを踏まえて当記事が100%正しいとは思わず、参考に留めてもらえればと思う。
商用利用は可能
Midjourney利用規約の4. Copyright and Trademarkに記載がある。規約を守って作成された画像はユーザーに全ての権利がある。つまり商用利用を含めてどのように使おうが自由だ。またその権利は課金停止後も有効だ。
ただし、全ての権利はミッドジャーニーにも与えられる。ユーザー間でプロンプトや画像を参照しあい、学び楽しむコミュニティのために規定されている。とはいえ仕事で使う場合は気をつけたい。画像の権利をミッドジャーニーも持っている事になるのだから。
また、公序良俗に反する画像の利用に対しては強制退会や損害賠償の可能性がある。例えば米国の前大統領の逮捕画像を生成してSNSに投稿したユーザーは退会させられた。この規模だと画像生成AIサービスの継続にも影響するので損害賠償されてもおかしくない。
例外
- 他者の画像を高解像度化しただけの場合には権利は生じない。現行バージョンは初めから高解像度で生成されるので関係ない。
- 法律が優先される。もしユーザーの住むA国がAI画像は商用利用不可とすればその法律が優先。
- 年間売上100万アメリカドル以上の企業や個人事業主の場合、サービスにアクセスする全従業員はプロ/メガプランに加入する事。そうでないと権利は与えられない。
- 無料トライアル(現在は利用できない)で生成した画像は商用利用不可。ただし1度でも課金すれば、無料トライアルで生成した画像にもユーザーに権利が生じる。
画像生成AIの画像に著作権はあるのか?
著作権はある。
まず1970年に改正された日本の著作権法。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作権法第2条第1項第1号
次に2023年の文化庁の見解。
人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられます。
文化庁の令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」
「道具」としてAIを使用したかの判断基準は2つ
- 創作意図がある
- 創作的寄与がある
表現したい画像のためにプロンプトを試行錯誤、その中から選び抜いた画像、これは間違いなく著作物だ。そうでなくても作りたい画像があって何となくプロンプトを入力して1発生成した画像でも問題は無い。
しかし、24時間自動生成するプログラム(にじジャーニーは規約で禁止されている)で生成した画像は創作意図と創作的寄与が無く、著作物ではないとみなされる可能性が高い。
部分的にプログラムに任せたりと様々なパターンが考えられるが、文化庁は「一連の過程を総合的に評価する必要がある」としており、明確な基準は無い。
他者のAI画像を自分のブログ等で使用して良いの?
良くない。
当サイトでも他者の画像が映る事があるが、これは画像が中心ではなく、何かの説明のために少し映り込む程度なので問題無い。がっつり映る場合は引用元さえ記載すれば良いというのは間違いで、いくつか条件がある。詳しくは文化庁の著作物が自由に使える場合を参照。
AI生成なら他者の画像でもブログ等で使用して良いと説明するサイトがあるが、ミッドジャーニーの利用規約を勘違いしていると思われる。規約ではサービス内(ディスコード上)で他者のプロンプトや画像のリミックスが認められているだけ。
Please note: Midjourney is an open community which allows others to use and remix Your images and prompts whenever they are posted in a public setting. By default, Your images are publically viewable and remixable. As described above, You grant Midjourney a license to allow this.
Midjourney利用規約の4. Copyright and Trademark
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